湿気の多い日本だからこそ行いたい垂れ耳ケア

日本犬で、垂れ耳の犬種はいませんが、スパニエル系、レトリバー系、セントハウンドなど、獲物を回収する猟犬の多くは、垂れ耳です。
犬の耳は、良く動き小さな音でも聞き洩らさないようになっていますが、何故大きく垂れた耳が、回収犬には必要なのでしょうか。
獲物を回収する犬種は、 獲物を探すためにニオイを嗅ぐ場合に下を向いた時に、大きな垂れ耳でふたをして余分な雑音を遮ることによって、嗅覚以外の感覚を制限して、ニオイへの集中力を高めます。それと同時に両耳がカバーとなって鼻の周りの風を遮り、 正確なニオイを嗅ぎやすくなるという役割を垂れた耳が果たしています。
でも、湿気の多い日本では、耳の中を清潔に保ってあげるのが大変です。

犬の耳の構造を知ろう

犬の耳の構造は、「外耳」「外耳道」「鼓膜」「中耳」「内耳」になっています。
「外耳」は大きな垂れ耳です。そして、犬の耳をのぞいたところが「外耳道」です。犬の外耳道は、「L」字型になっていて、その「L」字型の突き当たりに鼓膜があります。
そのため、直接鼓膜を見ることは出来ません。
また、ごみや虫の侵入を防ぐために、耳の中にも毛が生えているのも大きな特徴です。

耳の掃除ケア

健康な犬の耳は、悪臭、耳垢、無駄毛がなく、もちろんダニなど寄生していません。
垂れ耳の犬は特に耳の中が不衛生になりやすいので、飼い主がきちんと耳のケアをしてあげましょう。定期的に、耳を清潔に掃除してあげましょう。
ケアの前にまず犬の耳の中をチェックしましょう。チェックするときは、耳を上に引っ張ると痛がるので後方に軽く引き寄せる感じで行ってください。
犬の耳掃除の方法は、表面部分はコットンにイヤーローション（ペットショップで購入できます）をつけて指でふき取ります。奥のほうはペット用綿棒にローションをつけてケアします。外耳道はL字に曲がっているので鼓膜を傷つける心配は少ないですが、嫌がっているのに無理にケアしようとすると暴れて耳の中の皮膚を傷つける恐れがあります。
犬の耳の中の毛が、あまりに密生している場合ははさみなどを使ってカットしてあげましょう。
そして、耳の付け根を優しくマッサージすると、その部分の血行を刺激します。ほとんどの犬はこのマッサージが大好きです。

点耳の方法

耳を持ち上げて、耳の入口に薬を滴下します。
耳を持つたままで、耳の付け根をそっとマッサージしてください。
くちゃくちゃと音がするまでマッサージします。
この音は、点耳薬が耳の内部に到達したことを意味します。犬や猫はこの時激しく頭部を振りますから、離れてください。

耳の問題の兆候

犬の耳は非常に異常に敏感です。もし、なんらかの問題が起こった場合は次のような徴候があります。

このような兆候があった場合は、獣医師の診断をうけることが重要です。

掃除を怠るとなる、耳の病気

犬の耳の異常と病気の関係は、耳垢がたまっている時は、「外耳炎」「 耳疥癬」です。
「外耳炎」の症状は、悪臭のある茶色っぽい耳垢が外耳道にたまって、拭き取ってもまた出てくる状態です。症状が、悪化すると、慢性になってしまい、最悪の場合は、外科処置が必要になります。
また、耳血種（耳に血液がたまって膨れ上がる病気）をひきおこす原因にもなります。
耳が黒ずんで臭い時は「耳疥癬」で、音への反応が鈍い時は、「中耳炎」「内耳炎」で、耳先が変色している時は、　凍傷にかかったか、「扁平上皮ガン」の可能性があります。すぐ獣医師の診断を受けて下さい。
　
垂れ耳の犬は、なかなか自分では、耳を清潔に保つことが難しいです。垂れ耳の犬は、耳の中の様子が観察しづらいですが、飼い主が定期的にケアをしてあげましょう。
普段からご自身の愛犬を良く観察して、いつもより耳を気にしているな、とか、様子が違えば速やかに動物病院を受診されることをお勧めします。

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